インプラントのリスク・後遺症
“天然歯のように噛める”“周りの歯に負担をかけない”などの特徴をもつ、インプラント治療。機能性はもちろん、審美性も兼ね備えており、天然歯のような見た目などたくさんのメリットがあります。
しかし、医療において“デメリット”は避けられないもの。万能に思えるインプラント治療にも、もちろんデメリットは存在します。ここでは、インプラント治療のデメリットとして「リスク・後遺症」などをわかりやすく紹介。デメリットもしっかり理解して、後悔しないインプラント治療ができるようにしましょう。
インプラント治療を受ける前のリスク
持病がある場合は治療を受けられないことがある
心臓疾患、高血圧、骨粗しょう症などの持病がある人は、インプラント治療を断られることがあります。
糖尿病
糖尿病を患っている方は、血糖値のコントロールが上手くできない特徴があります。血糖値のコントロールが上手くできないと、体の免疫機能が低下します。免疫機能の低下は傷の治りを遅くしますので、外科的手術が必要なインプラント手術は避けた方が良いと判断されます。
心臓疾患
狭心症や心筋梗塞を罹患したことのある方は、インプラント治療を断られることがあります。理由は手術中の出血に伴うリスクが大きいため。インプラント治療では出血を伴う手術をおこないますが、心臓疾患のある方は血がとまりづらいことがあり、止血が難しく危険な状態になります。
また、重度の不整脈などで体内型ペースメーカーを入れている方は、細菌感染を起こし、心内膜炎などの危険があります。
高血圧
高血圧の方も“止血が難しく合併症を引き起こしやすい”というリスクがあります。治療中のストレスで血圧が跳ね上がることも考えられ、高血圧の方が医師に何の相談もしないまま手術を受けることは危険です。
しかし高血圧だと絶対にインプラント治療を受けられないのかというと、そうではありません。治療のストレスを感じにくい「静脈内鎮静法」という麻酔を用いることによって、うとうとしているうちに手術を終えられ、手術中の記憶がないことも。リラックスして手術を受けられるため血圧の上昇を抑えられ、“高血圧の方でも治療をおこなえます”と謳っているクリニックも増えてきています。いずれにせよ高血圧の場合には、カウンセリングの時点で医師にしっかり相談することが重要です。
骨粗しょう症
骨粗しょう症の方は骨が弱いため、インプラントを埋入しても骨とうまく結合しないことがあります。また、骨祖しょう症の薬を服用している場合、細菌感染により顎の骨が腐ってしまう危険もあるのです。ただ骨粗しょう症の方でも場合によってはインプラント治療を受けることができますので、歯科医師に相談してみることをおすすめします。
骨量が少ない場合、受けられない場合がある
インプラント治療ではインプラント体を顎の骨に埋め込み、骨と結合させることでインプラントを安定させます。埋入するのに充分な骨量がない場合はすぐに治療を受けられません。
骨量が不足している場合は骨造成をおこない、骨を再生させる「GBR」や、骨補填材などを入れる「ソケットリフト」「サイナスリフト」などの処置を受けてからインプラント治療をスタートします。
歯周病がある場合
歯周病は多くの人が罹患しているともいわれる身近な病気ですが、歯周病にかかっている場合もインプラント治療をすぐには受けられません。
歯周病のままだと、インプラント治療の際に歯周病菌が入りこみ、「インプラント歯周炎」という合併症を起こしてしまうことがあります。最悪の場合インプラントが抜け落ちることもありますので、歯周病にかかっている方はまず歯周病の治療をおこなってからインプラント治療をおこなう必要があります。
また、歯周病を引き起こす大きな原因といわれる“喫煙”も、治療を断られる要因のひとつです。多くのクリニックでは禁煙を勧めており、クリニックによっては“禁煙できなければ治療は致しません“というほどです。
手術中・手術後のリスク、後遺症
インプラント治療における死亡事故などはほとんどありませんが、治療後の不具合や手術による後遺症は知っておくべきデメリットです。
手術中に引き起こされるトラブルとして、
- ドリル等による組織(骨・神経・血管等)の損傷
- 感染 インプラント周囲炎
などが挙げられます。手術での切開で動脈や神経を傷つけたり、歯周病菌が入りこむなどでインプラント周囲炎を引き起こすことがあります。
また、手術後に現れるトラブルや後遺症としては、
- 手術後の痛み、腫れ、内出血、しびれ
- 知覚異常・唇が上手く動かないなどの神経麻痺
- 骨が結合しない
- 違和感・噛み合わせが悪い(頭痛・肩こり・不調の原因になる)
- インプラントが安定せず、うまく噛めない
- インプラントが割れるなどの破損
などが挙げられます。
インプラント治療で失敗しないためには、医師・クリニック選びが重要
このように、インプラント治療には大きなメリットがある一方、さまざまなデメリットがあります。インプラント治療で失敗しないためには、“どの医師・クリニックで治療をおこなうか”が重要。インプラント治療を受けるクリニック選びでは、
- 医師の知識や技術力を示す「専門医」などの資格があるか
- これまでの経験や実績が充分であるか
- カウンセリングをしっかりおこなうなど、患者の話を聞く姿勢のある医師か
- インプラント治療をより安全性に配慮し正確にするための専門の設備があるか
- 感染対策のための衛生環境はしっかりしているか
などをチェックし、後悔しないインプラント治療を受けましょう。