治療期間
インプラントの治療には、さまざまな方法があります。それぞれの治療方法には標準的な期間があり、おおよそどのくらいの期間を要するかの目安がわかります。ただし同じ治療法でも受ける患者の状態によって期間に違いがあり、インプラント治療を受ける前に別の治療をおこなう必要があることも。ここでは、インプラント治療のなかでも一般的な「2回法」の流れと要する期間を紹介します。
どの工程にどのくらいの期間がかかる?インプラント治療の流れを紹介
2回法の場合
2回法でインプラント治療を行う場合、一般的な治療期間の目安はおよそ3~8ヵ月。個人の状態によって差があります。
初診・カウンセリング
カウンセリングでは、インプラント治療の治療法・治療期間・手術のリスクや成功率などを医師が説明します。不安や疑問に思うことをしっかりと話し、インプラント治療についての不明点を解消します。
検査・治療計画
問診をおこない、口腔内の状況を確認します。クリニックによって多少異なりますが、CT検査や血液検査、チタンアレルギー検査、歯周病検査などをおこないます。
検査結果をもとに、患者に合った治療計画を立てます。医師は治療内容や流れ、費用などの治療計画を説明します。患者が納得してインプラント治療に臨めるよう、インフォームドコンセントを大切にします。
1次手術
顎の骨にインプラントの歯根部を埋め込みます。一般的に局部麻酔をし、歯肉を切開して埋入します。クリニックや患者の希望によっては全身麻酔をおこなうこともあります。
インプラントを埋入したら、歯肉を縫合します。インプラント体が歯茎にしっかり埋め込まれた状態です。
抜糸
1次手術後1~2週間経ったら、縫合した部分の抜糸をおこないます。
治癒期間
骨の質・量など患者個人によって異なりますが、おおよそ3~6ヵ月ほどの治癒期間を設けます。インプラントと顎の骨がしっかりと結合するのを待つ、インプラントを安定させるための期間です。
一般的には、骨量・質ともに充分であれば上顎で4~6ヵ月、下顎で2~3ヵ月ほどです。
経過観察
術後3週間ごろから、月に1回ほどの間隔で定期的に経過状況を確認します。
2次手術
インプラントが骨と結合したら、歯肉を再切開し、仮歯や人工歯を装着するためのアバットメント(支柱)を取り付けます。その後歯茎の治癒期間として1~6週間ほど待ちます。
人工歯の作成・装着
歯茎の治癒が完了したら、型を取って人工歯を作成します。人工歯は患者に適した形や色に作成し、装着します。
メンテナンス・定期健診
インプラントは人工歯を装着したら終わり、ではありません。術後も半年に一度程度の定期的に来院し、メンテナンスや検診を受けることが重要です。インプラントを長持ちさせるために、クリニックで定められた定期健診に行きましょう。
骨量がたりない場合の治療期間
インプラントを埋入するのに充分な顎骨がない場合、インプラントの手術をする前に骨造成をおこないます。骨造成にはソケットリフトやサイナスリフト、GBRなどの方法がありますが、移植骨が定着するまでに4~6ヵ月ほどかかるため、さらに治療期間が延び、合計で7~14ヵ月ほどかかることになります。
抜歯即時埋入の場合
抜歯即時では、埋入から人工歯装着までは3~6ヵ月ほどかかりますが、抜歯・埋入の手術当日に仮歯が入ることがほとんど。
抜歯即時は歯を抜くのと同時にインプラントを埋入します。通常では抜歯をしてから最低でも2~3ヵ月の期間をもって骨の回復を待ちますが、抜歯即時では1日で抜歯から埋入までおこないます。“歯を抜いてからインプラント埋入”までの手術回数と治療期間を短縮できるメリットがあり、交通事故で突然歯を無くしてしまったり、歯がない期間を望まない患者に適用されることが多い治療法です。
OAMインプラントの場合
OAMインプラントでは、骨が細くても骨移植をせずに治療ができ、治療期間を短縮できるメリットがあります。
ほとんどドリルを使わず、細い針のような器具からだんだんと太いものに変えて穴を広げます。インプラント埋入後の治癒期間は必要ですが、OAMインプラントは骨や体への負担が少ない分回復も早いのが特徴です。
オールオンフォーの場合
オールオンフォーは最少4本のインプラントですべての人工歯を支える治療方法です。歯がほとんどない方や総入れ歯の方に適しており、手術当日に仮歯が入るメリットがあります。インプラント埋入後およそ6ヵ月後に仮歯を人工歯のブリッジに交換します。